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原画: フランチェスコ・ヴァンニ FRANCESCO VANNI (1563-1610)
版画: アゴスティーノ・カラッチ AGOSTINO CARRACCI (1557-1602)
主題: 「聖ヒエロニムス」 SAINT JEROME  (B.74)
手法: 銅版画 ENGRAVING.
寸法: 180 x 146mm.(画面)  194 x 148mm.(紙面)
制作: 1595年頃、Second (final) state.
出所: Pierre-Jean Mariette, 1667 1690 (L.1789. 1790)
    Dr. J.W. Randall (L.2130)
    The Fogg Art Museum. Harvard University, with Duplicate.
展覧: 「ルネサンス・バロック版画展」 1995年、作品50番
    主催:(財)芸術文化振興財団、ふくやま市立美術館、
    福山市教育委員会、朝日新聞、広島ホームテレビ
 フランチェスコ・ヴァンニは、1563年頃にシエナで生まれたイタリアの画家。幼少の頃、義理の父親であるアカニョ−ロ・サリムベーネから作図の基礎を学んだ。その後16歳の時、ボローニャで見聞を広め、後にローマへ移り、改めてジョヴァンニ・デ・ヴェッキョの弟子となり研鑽を積んだ。やがてヴァンニはイタリアにおける最も人気のある画家となった。彼の最大の特徴は、光り輝くような色彩を開発し、バロッチと双璧と称されたスタイルを確立したことである。ヴァンニの代表作を挙げると「シモン・メイガス」「反逆する天使たちを征服する聖ミカエル」「ピエタ」「聖家族」などがる。 フランチェスコ・ヴァンニ「聖ヒエロニムス」1595年頃
アゴスティーノ・カラッチは、アンニバーレの兄で、従兄弟のルドヴィコと三人でカラッチ・アカデミーを設立した。アゴスティーノ様式は、初めマニエリスムから引き出されたものであるが、その後色々な画派の長所を取り入れて、反マニエリスム的な傾向を強め、最終的にはバロック芸術の起源となるような様式を創造した。アゴスティーノ作品の最大の特徴は、分別ある穏健性と音楽や哲学、数学あるいは天文学などの幅広い知性に裏付けされていることである。アゴスティーノの体系的な人体解剖図の素描は、彼の死後に版画化されて、200年もの間ヨーロッパの美術界で教材として使われた。アゴスティーノは画家としても優れているが、版画家としての天分は抜群で、より重要な業績を美術史に残した。 本作品は、アゴスティーノ・カラッチがフランチェスコ・ヴァンニの「聖ヒエロニムス」を翻刻したもので、その制作年は1595年頃か96年頃と考えられている。本作品のスタイルから考えると、1595年に制作された「トロイを去るアイネイアースとその家族」と酷似しており、同時代の可能性が極めて高いことが分かる。また、1595年作の「音楽の天使に慰められる聖フランシス」と比較しても、両作品の表現は異なるところが無く、本作品が1595年頃に制作されたことは間違いないだろう。いずれにしても、この頃はアゴスティーノ・カラッチが、ヘンドリック・ホルツイウスの影響を受けて、自己の作風を確立していった時代である。この作品は小品であるが版画史において極めて有名で、多くの版画家に絶大な影響を与えた。その証拠に、模刻版画だけでも8点の作品がある。
西洋古典版画研究家 山中己充人

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