原画: ヤコポ・パルマ JACOPO PALMA (1544-1628)
版画: ルーカス・キリアン LUKAS KILIAN (1579-1637)
主題: 「ラザロの蘇生」 RAISING OF LAZARUS.
手法: 銅版画 ENGRAVING.
寸法: 301 x 223mm.(画面) 302 x 224mm.(紙面)
制作: 1599年
展覧: 「ルネサンス・バロック版画展」1995年、作品37番
主催:(財)ふくやま芸術文化振興財団、ふくやま市立美術館、
福山市教育委員会、朝日新聞社、広島ホームテレビ
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| ヤコポ・パルマ(通称イル・ジョヴァーネ)は、ヴェネツィア派最良の血統を受け継ぐ最後の代表者で、ヴェロネーゼとティントレット亡き後の最も優れた画家である。アントニオ・パルマの子としてヴェネツィアで生まれ、最初父親から絵の手解きを受けた。一説にはティツィアーノからも直接教えを受けたと言われている。その後ミケランジェロ、ラファエロ、ポリドロ・ダ・カラヴァッジョなどの作品を研究して長足の進歩を遂げた。 |
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| また、ティントレット様式の鎖につながれながら力強い独創性を発揮したのはパルマただ一人なのである。パルマの最大の特徴は、ヴェネツィアを支配していた様式に最大の関心を払いながら、その状況に合わせて色々な画家の長所を折衷主義的に融合させたことである。つまりティントレットの気質、後期ティツィアーノの色彩への感覚的反応、ヴェロネーゼの精神的富裕などを巧妙に融合し、パルマ自身の芸術スタイルを創造したのである。これは、如何なる主題に対しても、最善最良のスタイルを採用しようとするパルマの変幻自在の才能の確かな現れである。本作品(原画寸法:97
x 77cm. 1599年作、Feltere (Beluno), Museo Civico)の主題は、キリストが行った奇跡の中の死者の復活の一つである。「キリストの復活」はこの後に扱われた主題である。ラザロはマグダらのマリアとマルタの兄弟である。彼が危篤の時、姉妹はキリストを呼んだが、到着した時には既に遅く、死後四日経っていた。 |
キリストは彼等と一緒に墓に行き、もし信仰があるならば奇跡を見るであろうと言い「ラザロよ、出てきなさい」と言い、ラザロは蘇生したのである。ルーカス・キリアンは1579年にアウグスブルクで生まれた版画家である。シュレジェンの金細工師であった父親の下で育ったが、後に継父となったドミニクス・クストスから絵を学んだ。その後イタリア各地で修業し、最終的にはヴェネツィアに住居を構えた。この頃になると既に版画家として名を成しており、ティントレットやヴェロネーゼなど、ヴェネツィア派の画家の作品を版画に制作した。本作品もその頃翻刻したものと考えられる。その他の画家ではミケランジェロ、ロッテンハイマー、スプランがーなどの作品も版画化した。スタイルは、ホルツイウスやミューラーに近く、整然として華麗な版刻が特徴である。本作品によっても一目瞭然であるが、キリアンの熟達したエングレーヴィングは疑いなく第一級である。
西洋古典版画研究家 山中己充人 |