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原画: ラファエロ・サンティ RAFFAELLO SANTI (1483-1520)
版画: チェザーレ・ファンティッティ CESARE FANTETTI (c.1660 - ? )
主題: 「預言者イザヤ」 THE PROPHET ISAIAH.
手法: 銅版画 ETCHING.
寸法: 297 x 207mm.(画面)  343 x 322mm.(紙面)
原画: サン・タゴスティーの聖堂、フレスコ、ローマ
文献: RAPHAEL INVENIT, 1985, p.604, Fantetti 4
 盛期ルネサンスにおいて、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチと共に三大巨匠と言われ、人類最高の画家の一人として美術史に君臨するラファエロは、イタリアのウルビーノで生まれ、ペルージアでペルジ−ノの下で修業し、1504年すなわち21歳の時フィレンツエに移った。そこでラファエロはレオナルドとミケランジェロの新しい芸術を完全に吸収し、ルネサンス芸術の真髄を体得した。この頃ラファエロは更にフィレンツエの巨匠たちの作品を多数模写し、高度な素描力を身に付けた。この素描の研究こそ、最も多才で不可能を知らぬ画家となった最大の要因である。 ラファエロ・サンティ「預言者イザヤ」
恐らく、その切掛けとなったのは、彼の父ジョヴァンニ・サンティが、美術の本質について「優れた素描こそ絵画の基礎である」と常に言っていたことによるものであろう。
 本作品は、ラファエロがローマのサン・タゴスティーノ聖堂の本堂の左側三番目の柱に、二人の天童子像に挟まれて玉座に座る預言者イザヤをフレスコで描いたものである。その寸法250 x 155cm.とかなり大きい。幼児は「聖母の母である聖アンナに、神の母である聖母に、救世主キリストに、ジョヴァンニ・ゴリティウス」とギリシャ語で書かれた献板を捧げ持っている。預言者イザヤが両手で広げている羊皮紙には「城門を開け、神に従い、信仰を守る民が入れるように」(イザヤ書26:2)とヘブライ語で記されている。本作品は教皇庁の書記官長ジョヴァンニ・ゴリッツの要請で、1511年から12年の間に描かれたものである。
この作品には、ミケランジェロが制作したシスティーナ礼拝堂の預言者たちの像に啓発されて描いたものである。事実、この作品にはミケランジェロの強大な影響が見られる。ラファエロは、この主題を描いて構図に現れる作品の内面性を学んだのである。本版画は、このフレスコ画をチェザーレ・ファンテッティが翻刻したものである。ファンテッティは1660年頃にフィレンツエで生まれたイタリアの版画家であり装飾画家である。しかし制作活動は主としてローマで行った。ファンテッティは自分の作品も版画に制作したが、主としてアンニバーレおよびルドヴィコ・カラッチ、アンドレア・サッキ、チロ・フェルリなどのイタリアの作品を版刻した。その中でも、ヴァチカン宮殿の回廊に描いた「ラファエロの旧約聖書」をピエトロ・アクイーラと一緒に翻刻した連作版がよく知られている。52点の内、ファンテッティが37点制作した。この厳粛で高貴なラファエロの作品も、遺憾なく版画芸術に再現している。

西洋古典版画研究家 山中己充人

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