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原画: ラファエロ・サンティ RAFFAELLO SANTI (1483-1520)
版画: マルカントーニオ・ライモンディ MARCANTONIO RAIMONDI(c.1480-1534)
主題: 「聖女チェチ−リア」 ST. CECILIA.
手法: 銅版画 ENGRAVING.
寸法: 260 x 158mm.(画面) 270 x 165mm.(紙面)
文献: “RAPHAEL INVENIT”EDIZIONI QUASAR, 1985 Roma, p.764 SANTI V
「西洋絵画作品名辞典」三省堂、1994年、p.862
 ラファエロは盛期ルネサンスにおいて、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチと共に三大巨匠と言われ、人類最高の画家の一人として美術史に君臨する。ラファエロは、イタリアのウルビノで生まれ、ペルジーノの下で修業し、1504年すなわち21歳の時フィレンツエに移った。そこでラファエロはレオナルドとミケランジェロの新しい芸術を完全に吸収し、ルネサンス芸術の真髄を体得した。この頃ラファエロは更にフィレンツエの巨匠たちの作品を多数模写し、高度の素描力を身に付けた。この素描の研究こそ、最も多彩で不可能を知らぬ大画家となった最大の要因である。 ラファエロ・サンティ「聖女チェチ−リア」1514年
 本作品の原画(祭壇画)は、ベネデット・ダッロリオの妻エレーナの要請により、1514年に制作されたものである。ライモンディの版画は、この原画と多くの部分で異なっているが、これは原画を勝手に変更したのではなく、恐らく準備的下絵素描を翻刻したものであろう。一番左にいるのは聖パウロ、その隣は福音書記者聖ヨハネ、一番右はマグダラのマリアで、その隣が聖アウグスティヌスである。雲も間に姿を現しているのは、天使たちの聖歌隊である。聖女チェチ−リアは、恍惚とした眼差しでそれを見ている。音楽は聖女の耳に聞こえたのではなく、心に響き、法悦の象徴となったのである。この作品は祭壇画の主題に全く新しい概念をもたらした歴史的作品である。この祭壇画は、ナポレオンの戦利品として1789年にフランスに運ばれたが、1815年にイタリアに返還されて、現在ポローニャ国立美術館に収蔵されている。マルカントーニオ・ライモンディはルネサンス期における最も有名かつ優れたイタリアの版画家で「翻刻版画」の創始者としても、版画史上最高の地位を占める一人である。 しかし、これほどの版画家でありながら、彼の生まれた年に関しては、はっきりした記録は無いが、ボローニャで1470年頃生まれたという説も有力である。一説にはラファエロよりも1・2歳下とも言われているが、定かではない。また、1527年すなわちローマの略奪が行われた以後の記録も見つかっていない。ただ最も初期の職業的訓練はフランチアの下で黒金象嵌の手解きを受けたと考えられている。それと同時に金細工師の所で彫金の技法を身に付けたことも確かである。ライモンディが始めて世に出した版画は「ピュラモスとティスベ」で、これは1505年以前に制作したものと考えられる。1508年頃から1510年頃はヴェネツィアにおいてデューラーの「聖母の生涯」「小版キリストの受難」「アダムとイブ」などを模刻して技術に磨きをかけた。その直後フィレンツエへ行き、ミケランジェロの「ピサのカルトーン」(よじ登る人)を翻刻した。その後はローマへ移り、ラファエロの下で8・9年制作に従事した。ラファエロの死後、1520年からジュリオ・ロマーノの作品を翻刻して名作を残した。
西洋古典版画研究家 山中己充人

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